ただのスマートな男の話

モテる男というのは、スマートに物事をこなさなければならない。


例えば、女性をご飯に誘ったのに、目的のお店が大行列で1時間待ち・・・
これはまったくスマートじゃない、モテないやつが一番やりがちなことだ。
その待ち時間を退屈させないならまだいいが、
モテないキミたちのようなやつではまず無理だろう。


その点、スマートな俺は違う。
女の子から食べたいものを聞いた瞬間に、
我が家に先祖代々伝わる秘密道具「食べログ」を用いて、
評価の高いお店を迅速に調べ上げ、すぐに電話をし予約をしてしまうのだ。
これがスマートな俺のやり方だ。


そんなスマートな俺に「ん~、タイ料理が食べたいかな」と
本日、女性から依頼があった。


「ん~、タイ料・・」くらいのときには、
俺は早くもスマートな男の武器であるスマートフォンを取り出し、
食べログ」を用いて、評価の高い「タイ料理屋」をチェックし、
内装と外装の写真を見て雰囲気を判断、個室があるかないかもそこで見極める。
料理の値段?・・・そんなことを気にするやつはモテないブタ野郎だ。

ちなみに俺はこれをわずか、0.6秒でこなしてしまう。
スマートな男は時間を無駄にしないのだ。


評価がなかなか高く、いい感じのお店が見つかったので、
スマートな俺はさっそく予約の電話をかけた。

「オデンワアリガトウゴザイマス、○○デス」

コメントに「店員さんも全員タイ人で、本格的なタイ料理屋さんです」と
書いてあったので、そんな予感はしていたが、
やはりカタコトな日本語の店員が電話に出た。
「ふっ、想定内」・・・スマートな男はこういう事態も予測できるのだ。


「あ、すいません、○日の予約をしたいのですが・・・」

スマートな男は、店員への物腰も低い。
物腰は低く低く・・・例えるならば、野球で
ショートを守っているときくらい低い姿勢でいるのが大切だ。
ここで「おう、あのさ、予約したいんだけどさー」と高圧的にいくのはナンセンス。

なんたって、「店員に高圧的な態度をとる男は嫌われる」と
恋愛マニュアルに必ず書いてあるくらいだから。
それにこれが許されるのは日本では、「千原せいじ」だけだと聞いたことがある。


しかし、ここで今までスマートだった俺が想定しきれなかった事態が起きた。


「ゴヨヤクデスネ、ฉันเป็นหนี้บุญคุณคุณ」

「え?」

「○日ダイジョウブデス、ขอบคุณฉันเป็นหนี้บุญคุณคุณล่วงหน้า」

「え?・・・2人で、個室でお願いします」

「コシツデスネ、ワカリマス、オナマエ?」

「名前?・・・ああ、takaです」

「ขอบคุณล่วงหน้า」

「え?」

「ขอบคุณล่วงหน้า」

「え?」

「แล้วเจอกันใหม่」


ガチャ


「え」

なんと、カタコトどころか6割くらいタイの言葉を喋られたのだ。

まったく・・・ジャパニーズ電話対応ができないとは、さすがタイだ。
これで予約ができてなかったら、
ネットパワーを使って、盛大に叩いてやろうと思う。
タイがそうくるならば、これがジャパニーズのやり方だ!

そんなことよりも、本当に予約ができているかとても心配で、
スマートな俺がオロオロしているという非常に由々しき事態になっている。

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