ただのお玉の話

仕事終わりに会社の人達とご飯を食べた。


お店に入り、湯豆腐の鍋を3つ注文したところ、
俺のもとに運ばれた鍋にだけ、湯豆腐や他の具材をすくう
お玉がついていないというハプニングが発生した。


おそらく俺があまりにも美男子だったため、
おブサイクな店員からの陰湿な嫌がらせと思われる。
思い返せば、学生時代には靴を片方隠されるという
嫌がらせを受けたことがあったが、
美男子というものは、時として
こういう辛い思いもするものなのであろう。


だが、俺はこんなことでいちいち腹を立てたりはしない。

一般の方ならば、お玉がない時点で、
店員を問答無用にビール瓶の底でぶん殴っていることだろうと思うが、
”ジャパニーズヤサシイ!”と外国人に言われるほど優しい俺は、
一切怒ることはせず、すぐさま近くにいた店員を呼び、
「お玉がひとつないんですけども」と優しく伝えた。

その姿はあまりにも温かみに溢れ、まるでブッタが教えを
民に説いているようであったとかなかったとか。
すると店員は「あっ、すいません、ただいまお持ちしますので・・・」と
申し訳なさそうに頭を下げ、店の奥に消えて行った。

「うむ、わかればいいのだ」

 

しかし、それ以後、
俺のもとにお玉が届けられることはなかった。
きっとお玉を持って来る途中に、残忍なお玉狩りにあったに違いない。

 

結局、痺れを切らした俺は、
ハシを使い湯豆腐を鍋から取ることにした。

店員から「お豆腐は崩れやすいので」という
情報を事前に得ていたため、慎重に湯豆腐を取ろうとしたが、
結果的にほとんどの豆腐を粉々にするという、
持ち前のワイルドさを如何なく発揮する結果となった。

すると、その一部始終を見ていたのであろう女子社員から

「takaくんは何もできないんですね」
「なんならできるんですか?」

とひどく馬鹿にされた。

お玉がなかったばかりに湯豆腐を美味しくいただけないばかりか、
女子社員からは馬鹿にされ、散々であった。

 

まだまだ寒い日が続き、みなさんも湯豆腐のお鍋を食べることがあるだろう。
さらにはお玉がないこともあるだろう。
そんなときには是非とも注意してもらいたい。

 

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