ただの大蛇退治の話

俺は悩みに悩んだ挙句、本日、人生最大の決断を下した。


「よし、縮毛矯正をしよう」

とりわけて酷いくせ毛というわけではないのだが、
どうもこの梅雨から夏にかけての時期になると、
湿気と汗で前髪が大蛇のように暴れ出し、
さながらメデューサのような髪型になってしまうのだ。
そして、これを解決するにはやはり縮毛矯正しかないだろうという
考えに至ったわけなのである。

 

そうと決まればさっそく、美容院に行き、
担当の美容師さんに
「俺の頭に住み着く大蛇を退治してほしい」ということを
涙を流しながら伝えた。

しかし、美容師さんの反応はどうにも悪く、
「男の人で縮毛矯正は珍しい」
「男ならそのクセを利用して髪型をセットすべきだ」
「思い切って髪の色を染めたらどうだ」
と、どうにか俺に縮毛矯正をかけさせるのを
辞めさせたいようであった。
きっと、こいつはメデューサの手下に違いない。


その後、どうにか説得に成功すると、
次は「カットはどうするか?」という問題になった。

俺は思い切って「あなたのセンスにお任せする」と伝えると、
「じゃあ、ここを少しかりあげて、トップは立ちやすいように少しすいて・・」
と、美容師さんは、まるでココイチでカレーのトッピングを注文するように
適当に決め始めた、俺は出来上がった髪型に”ココイチカット”と命名をするつもりだ。


そして、いよいよ施術が始まった。

 

・・・それから2時間後。

鏡の前には、生まれ変わった自分の姿があった。

もう湿気や汗などまったく受け付けないような
鉄壁のストレートヘアーにはなったものの、
前髪はふぇろんふぇろんにセットされ
サイドは中途半端な長さになっており、
襟足に至っては、まっすぐ切りそろえられるという
斬新な髪型になっていた。

「うん・・・これは素敵だ!」

俺はそう思うことにした。
だってそうでも思わないと、泣いてしまいそうだから。

しかし、結果的に湿気や汗に負けないストレートヘアーを手に入れたのは事実。
それだけでも十分であろう。

料金はカット込みで13000円であった。
普段利用している1000円カットの13倍の料金だ。
しかし、俺のかっこよさも見た目の面白さも13倍アップしているはずなので、
この新しくなった俺の髪型で女性たちを
ヒィヒィ言わせたいと思う(笑いが止まらない意味で)

待っていろ、女性たちよ。

 

広告を非表示にする