ただの黒豚しゃぶしゃぶの恐怖体験の話。

友達から唐突に「taka、おめでとう」とラインに連絡が入った。

「あれ?今日は何かの記念日だっけ?」

「今日はあれだ、その、黒豚記念日だ


という、まるでサラダ記念日かの如く誘いを受け、急遽、黒豚を食べに行くことになった。
行ったところは、雑居ビルの中にある知る人ぞ知るというような黒豚しゃぶしゃぶのお店であった。

残念ながら俺は、料理に関してはあまり詳しくないため、黒豚と普通の豚との味の違いなどはわからないが、
調べたところによると黒豚は、海外では「ブラックピッグ」、通称・ブラピと呼ばれ、映画界のスターなのだそうだ。


お店に入ると、若い女性店員が席に案内してくれた。

俺はすぐさま気づいたのだが、その女性店員は胸元に、
豚のキャラクターのようなものがバンザイをして「やったー」と言っているバッチをつけていた。
お店が用意してるものか個人で用意しているものなのかはわからないが、
残酷にも調理されているであろう豚のことを思うと、
そのサイコパス的なチョイスセンスにとても恐ろしい気分になった。


そんなことがありながらも、
席に着き、さっそくお目当ての黒豚のしゃぶしゃぶを注文した。

 

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その黒豚のあまりの美味さに

「なんか、豚が、なんか、歯応えが、あれや~宝石箱や~」
「黒豚と豆乳が絡まったこれ、あれや~なんかその~、あの~宝石箱や~」
「野菜が黒豚の味を上手くあれして・・・その~あれや~、その~宝石箱や~」

と、2人で彦摩呂のふんわりモノマネをしながら黒豚の味を楽しんでいると、
急にお店中に”ガチャン!ドカン!”という何かを激しく落としたような音が響き渡った。


どうやら先ほどの豚のバッチを付けた女性の店員が
お盆の上に乗せていた食器やらを落としてしまったようだ。

生憎、食器がひどく割れたりはしなかったようだが、駆け付けた先輩であろう男性にその場で怒られていた。
見ていてとても可哀想な光景だったものの、すぐさま食器を拾い集め、
周りのテーブルのお客さんに「スイマセン、スイマセン」と謝って周り、どうやらその場は済んだようであった。

 


その後、1時間ほど様々な黒豚料理に舌鼓をし、レジに行くとその豚のバッチの女性店員が担当してくれた。
しかし、よく見るとその胸元から豚のバッチが無くなっていた。

もしかしたら、このお店では業界最新鋭の豚バッチシステムを導入していて、
頑張ったらバッチ1個、ミスしたら没収というやり方で指導でもしているのだろう。
そして先ほど彼女は、お盆をひっくり返すというミスをしたためにバッチを没収されたに違いない。

そんなことを思いながらも会計を済ませ、友達に
彼女、豚のバッチが無くなっていたな」ということを告げると
ん?最初から豚のバッチなんてしていなかったぞ、何を言っているんだ?」と言われた。

「いや、していた・・・・ん、していたか?」

思い返すと彼女がバッチをしていたという確信的な自信がなく、
自らの記憶の曖昧さに恐怖すら感じるのだが、確かに胸元にとても印象的な豚のバッチをしていたはず。
でなければ、この場で”豚のバッチ”などという言葉が出てくるわけもないだろう。


何かまるでちょっとした恐怖体験をしたような気さえし
自宅に帰ってからは、少し恐々しているのだが、事実は如何に。

 

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